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【報告書】第2回 定例研究発表会

 

【日時】2018年8月11日(土) 15時~17時00分 

【場所】沖縄県立芸術大学 首里当蔵キャンパス 一般教育棟 3階大講義室

【参加人数】22名 

 

【プログラム】

15:00‥挨拶

    久万田 晋(沖縄県立芸術大学付属研究所 所長 、ODAC運営委員)

 

15:05‥研究発表①「民間における古写真収集・活用事業とは何か?」

              平良斗星(株式会社FM那覇、ODAC運営委員)/深谷慎平(スタートライン株式会社、ODAC会員)

 

15:40‥休憩

 

15:50‥スライド&トークショー「古写真イベントができるまで」

    平良斗星(株式会社FM那覇、ODAC運営委員)深谷慎平(スタートライン株式会社、ODAC会員)

 

16:30‥研究発表②「沖縄映画『青い珊瑚樹』のフィルム調査 中間報告」

    真喜屋力(沖縄アーカイブ研究所、ODAC事務局)

 

16:40‥ODAC会員活動報告、ODAC事務局報告

 

17:00‥終了

 

研究発表①「民間における古写真収集・活用事業とは何か?」

発表:平良斗星(株式会社FM那覇)、深谷慎平(スタートライン株式会社)

 

 平良会員と深谷会員による研究発表。二人は、コミュニティFMのラジオ番組制作を本業としつつも、これまで県内各地の自治体(那覇市、沖縄市、与那原町、南城市、豊見城市など)での古写真収集事業を行ってきた。
「個人の写真を、地域の資料として残していくこと」を目標としたこれまで取り組みを、「①収集」「②スキャン」「③ヒアリング」「④スライド制作」各4つのポイントにまとめた。具体的には、
古写真収集の際の「地域との信頼関係」。どのようなサイズの展示でも使えるよう〝高解像度スキャン〟〝撮影年数〟〝撮影地〟〝被写体〟〝エピソード〟などの写真に付随ずる情報「メタデータの構築」。後世の人制限なく利用できるよう、著作権の問題を回避するための「使用許諾処理」が重要だと語った。

 

スライド&トークショー「古写真イベントができるまで」

 発表:平良斗星(株式会社FM那覇)、深谷慎平(スタートライン株式会社)


休憩を挟み、研究発表の後半は、実際に南城市や豊見城市で収集した写真を中心に、スライドショーで紹介。写真は戦後間も無い時代のものから、1980年代ごろの写真が映し出された。戦争直後のころの写真は、大変貴重なものではあったが「公民館落成」や「水道整備」などの「地域のお祝いごと」は写真記録として残っている事例が多く、それらの写真から、地域の結びつきや生活の様子なのが伺えるという。

上映会をするにあたり、写真を通じて当時と現在を比較できるように、当時の写真と同じ場所を同じアングルで、現在の場所を撮影するなど、エンターテイメント的にも楽しめるような工夫を設けている。また、住民がその地域の歴史背景やアイデンティティーを知ることで、地域づくりや課題解決にむけてのきっかけ作りとなる事を語った。


研究発表②「沖縄映画『青い珊瑚樹』のフィルム調査 中間報告」

 

 発表:真喜屋力(沖縄アーカイブ研究所)

 

「青い珊瑚樹」は1959年に制作されたメロドラマ。沖縄タイムスで連載された小説が原作で、その後RBCでもラジオドラマ化され、当時は話題となった。その後、県内スタッフ&キャストで劇場映画として制作され、桜坂オリオンで劇場公開となった。だが興行が振るわず、僅か2日間の上映で、その後お蔵入りとなった。しかし、映画には50年代当時の名優や、著名人もキャストとして出演しており、那覇市内や糸満などの南部の風景も収められており、記録としても貴重な映像といえる。
現存のフィルムは、沖縄県公文書館に寄贈された、音が入っていないフィルムが所蔵されている。著作権者からの寄贈ではないので、公文書館内の閲覧のみでしか許可されていない状況。それとは別に、映画の音声台本も残っており、それは那覇市歴史博物館に所蔵されている。

沖縄県公文書館に「青い珊瑚樹」の使用許諾や保管についてヒアリングしたところ、権利関係が大きな課題だという。制作した映画会社は存在しないが、幸い、監督本人はまだご健在で、その他の制作関係者にも連絡できる状態だと分かったので、関係各位へのアプローチや、ワークショップの企画など、作品の公開、および復元に向けての活動中との報告があった。